地球の熱を感じさせる島「三宅島」を旅してみた

ようやく島のことについて記事を書く…正月だらけて過ごしてしまった…

 

さて、去年の夏に東京湾から約180km南に位置する三宅島に行ってきたので、記憶が残っているうちに記事を残しておこう。

 

三宅島の概要

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一般情報

位置     東京湾から南海に180km

面積     55.44km

海岸延長   38.3km

人口     約2,500人

最寄りの港  竹芝港(東京)

火山の存在感が強くて、もっと大きい島かと思ったけど、意外とそこまで大きくはない。

地図で見ると結構遠く感じるけど、八丈島とかに比べるとずっと近いような気もする。

 

三宅島のアクセス

基本的に三宅島に上陸する方法は2つ。一つ目はフェリー、二つ目は飛行機だ。

フェリー

フェリーは東海汽船が運行している大型客船を利用することになり、東京の竹芝港から出発して所要時間は約6時間半くらい。

時間がかかるからか、どうやら23時発とかの深夜発の1便しかないっぽい。つまりに早朝に島に着くことになる。

私が使用した便で行くと

竹芝港 22:30 発 →   三宅島 翌05:00 着

といった感じ。

なお、帰りは

三宅島 13:45 発 →   竹芝港 19:50 着

となった。

金額は座席のグレードによるけど、8,000円〜23,000円と長距離便ゆえ結構する。ちなみにネットで予約すると割引があったはず。

なお、季節によって出港時間が細かく変わったりするようなので、必ずホームページをチェックした方が良い。

 

飛行機

利用しなかったので詳しくはホームページ等で確認してもらいたいが、所要時間は1時間弱で、調布から1日3本ほど出ているようだ。

金額は片道17,500円とフェリーよりはお高め。

所要時間は短いものの、到着時刻はフェリーに比べると遅い時刻になるため、旅のシチュエーションに合わせて使い分けてほしい。

 

竹芝港からフェリーに乗りこむ

今回はフェリーを使って三宅島に行くとしよう。というか、船で上陸しないと島に来た感が全くしない。

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そびえ立つタワマンを横目に品川駅から竹芝港を目指す。

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竹芝港に到着、って人多すぎぃ!

マリンスポーツのシーズンだからか、サーフボードとか釣り竿とか持っている人でごった返していた。こんなに人で溢れる港の待合所に来たのは人生初めてだ。ちゃんと船に乗れるかコレ…

予約はしていたけど、乗船に必要な事項を記入し、チケットを購入。

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三宅島行きのフェリーが到着。南極とかにでも行くのかっていうくらい派手な黄色の船。

みんながぞろぞろと船に乗り込んでいく。こんなに乗船者の多い船に乗るのも滅多にないので、なんか落ち着かない。

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自転車を持ち込んだけど、船員の方が保管場所まで丁寧に案内してくれた。

船内は結構新しい感じで、結構広い。子供達がはしゃぎ回っている。

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ちなみに私が今回使用したのは一番安い2等室。室といってもカーペット張りの床に、顔が隠れる程度のパーティションがあるだけで、最大8人のいわゆる雑魚寝部屋である。

安さに目が眩んで利用したものの、これははっきり言って選択ミスでした…

何せ床が硬くて寝れない…!寝れないからスマホでも見ようかと思っても、電波が繋がらない…(一応Wifiが設置されているようだけど、全然電波が届かない)

100円で毛布が借りられたので、敷いて抵抗してみたけど、ほぼ意味無し。

どこでも寝れるって人以外は、せめてマットレスで寝られる特2等室以上をおすすめします…

 

という訳で、スタート前から散々な旅になってしまった。

 

海の上に突如現れた三宅島

全く寝れないまま船に揺られること6時間。

そろそろ着港が近づいてきたので、せっかくだし甲板に上がってみる。

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すると何もない大海原に突如巨大な島が。これが三宅島かー。

今までそれなりに島を訪れたけど、過去1で存在感がある島だ。

 

ワクワク感に酔いしれていると、あっという間に着港した。

阿古という港だそう。島に着いたらまずは島の全体が分かる看板を撮影する。

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今回は時計回りに自転車で周ることにする。

この夜明け前の島の感じって何でこんなにワクワクするんだろうか。やっぱり旅は早朝に限るぜ。

 

西エリア

今崎海岸

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自転車で走り出して5分もしないうちに、突如真っ黒の海岸が目に飛び込んできた。

今崎海岸という海岸だそうで、1643年の噴火で流れ出た溶岩で形成されたそうな。

近くにはメガネ岩という奇岩もあるが、一個しか穴が空いておらず、どこがメガネ岩?と思ったけど、どうやら二個あったうちの一個は台風の影響で崩落してしまったらしい。

いきなり非日常的な景色を見せつけられ、早くも圧倒される。

火山体験遊歩道

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更に北に10分ほど走ると、火山体験遊歩道を発見。ここは1983年の噴火によって流れ出た溶岩の上を歩くことができる。

この遊歩道のあるあたりは集落があったそうだが、溶岩によって消滅してしまったそうだ。

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また、近くには阿古小中学校という廃墟もあり、噴火の恐ろしさをそのまま残している。

とにかく、こんなにもゴツゴツとした真っ黒な溶岩が多い尽くす場所は滅多にある場所ではなく、自然の前には人間も敵わないのだと改めて思い知らされる。

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一方、木々に目をやるとところどころに枯れた木が生えている。ここは植物にとっても過酷な環境であるみたいだ。

 

北エリア

伊豆岬

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海岸線付近を30分近く走ると、風光明媚な灯台が近くにあるそうなので、寄ってみた。

海側に下ると、突如海を見おろす大パノラマが広がる。

伊豆岬という展望スポットであり、以北の伊豆諸島も遥か彼方に見ることができる。

海のそばには小さな灯台が立っており、足元は波と風に浸食された地面とポツンとベンチだけがあった。

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マジで周りは何も無いため、ひたすらベンチに座って遠くの海を眺めているのも風情があっていい。

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ちなみにここから更に北へと続く海岸線の道は、さっきの今崎海岸とうって変わって北海道のような青々しい草原が広がり、自転車で走りがいがある。

三宅島は少し場所が変われば景色もコロっと変わる、自転車で走っていて本当に飽きない島だ。

 

西エリア

ひょうたん山

本当は島の北側にある、椎取神社という神社の地中に埋まった鳥居を見たかったんだけど、どうも林の中にあるっぽく、明らかに人が立ち入る雰囲気が無く、ビビって奥まで進めませんでした…

島の西にはひょうたん山という黒い小山があるので行ってみた。

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が、かなり細い砂利道を下り、着いた場所は山の斜面の下側で、どう入っていったらよいか分からず、結局そのまま引き返すことに。そもそも山の上に登れたかもよく分からないまま終了。

椎取神社といい、空振り続きでヘコむ。

後で知ったけど、道路から見るこの山の景色が良かったみたいだ。

三宅島空港周辺

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三宅島一周道路(県道212号線)から三池浜を望む。起伏に富んだ大地と大海原のコントラストが素晴らしい。

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この辺りに三宅島空港があるらしく、着陸した観光者を迎えるためか、道路にはハイビスカス、ソテツの木が並び、景色の随所に南国っぽさが表れる。

真夏のこの日は気温が30度くらいあったけど、四方が海に囲まれている島特有の気候のためか、それほど暑さは感じない。むしろ、日陰で涼む分にはちょうどよいくらいの爽やかな夏の暑さだ。

 

南エリア

三宅島空港を抜けるとちょっとした市街地に入る。

ここで弁当を買ってようやく昼ご飯を食べる。朝早く行動し過ぎると、定食屋とかどこも開いていない時間帯に行動することになってしまうのがネックだ。

ちなみに弁当を買った店を開店時刻に待っていたものの全然開かず、違うところに行こうとした直後にお店の人が現れて店を開けてくれた。

こういう時間に少しルーズなところも島であれば許せてしまう、気もする。笑

長太郎池

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噴火によって作り上げられた、長太郎池なるものがあるようなので、海側まで下ることに。

干潮時には波が入ってこないため、フィッシュウォッチングとかにはちょうどいいみたいだけど、景色的には特にどうということは無かった。

むしろ、道中に道路から見下ろした坪田漁港のほうが見応えがあった。

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はるか向こうには三宅島からさらに南にある御蔵島が見える。

てかあんな断崖絶壁の島に人口300人ぐらい住んでいるようだけど、そもそもどうやって上陸するんだ…

 

新鼻新山

さぁ最後の観光スポット新鼻新山(にっぱなしんざん)に向かう。

Google mapで位置を確認しながら、さぁ近くまでやってきた。

・・・けどそれらしき入口が無く、気づけば通り過ぎてしまった。

看板とか見落としてしまったかな?と思い引き返してもそれらしい案内表示も無い。

周辺を行ったり来たりしていると、ガードレールの切れ目がある。

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まさかこれが入口じゃないよね?と恐る恐る木々のトンネルを抜けると海岸に抜けた。どうやらこれが入口だったようだ…分かりにく過ぎるだろ…

そのことは置いておいて、この新鼻新山、旅行好きの私もそれなりの数の観光地を巡ったけど、その中でも一番といっていいほど奇妙で、印象に残った光景だ。

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というのも、この何も無さそうな入口から入って、50mほどの木々のトンネルを抜けていきなり見えるのがこの真っ黒な砂浜に青い海、そして奥にそびえる赤い崖のような山である。

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他に誰もいなかったことも相まって、まったく違う星に来たような感覚になり、表現できないような気の高ぶりを感じた。

大げさかもしれないけど、ここに来るためだけに三宅島に来る価値があると思う。

(それゆえ、入口の分かりにくさが惜しまれる…)

崖に近づくと赤い岸壁とその地層がはっきり見える。

この山も1983年の噴火でできた火砕丘とのことだ。自然は時にとんでもない景色を作り出すなぁ。

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崖の上まで登ってみたけど、どこまでがしっかりした足場が分からないため、あんまり上までは登らなかった。こんなところで海に転落したら見つかるのは何日先なんだろう…

ただただ茫然と黒い砂浜に立ち尽くし、風の音を聞いていた。もっといてもよかったけど、本当に違う星に取り残されたような気分になりそうで、しっかりと目に焼き付けて、新鼻新山を後にした。

本当にここは来て良かった。

 

七島展望台

一応見たいところは全て回ったのだけど、港に向かう帰り道、三宅島の展望台に続く交差点を通った際、時間もあったので、三宅島の本体である火山を見渡せる七島展望台へと向かうことに。

e-bikeだから来れるけど、普通の自転車では絶対におすすめできない傾斜角15%はありそうな激坂を5kmほど登ると、まるで登山に来たかのようなパノラマが広がる。

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島の中心を見ると緑豊かでなだらかな三宅島が見え、反対側には雄大な海を望むことができる。

三宅島の標高は775mと思いのほか低い山だけど、それを感じさせないほどの裾野の大きさを感じた。

一方、道中の所々に避難壕があり、この山が今も生きている山であると思い出させてくれると共に、噴火したことを考えるとゾッとする。

 

三宅島1周完了!

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全行程を終えて、港まで戻ってきた。思ったより早く帰ってこれた。

船が来るまで、待合所をぶらぶら見ることに。理由はよく分からないけど、三宅島の島名や魚がデザインされた色んな種類のTシャツが販売されていた。10種類以上あったような気がする。

2階ではレストランもあり、時間があったため、ラーメンをいただいた。魚の出汁ベースで疲れた体に沁みる。

 

そうこうしているうちに、船がやってきたので、乗り込む。これにて朝の5時から始まった三宅島の旅は終了。

いやー、想像していたよりもずっと見応えのある島だった。至る所にある火山の痕跡は、地球の熱をダイレクトに感じることができる。

ちょっとアクセスに時間はかかるけど、是非1度は訪れていただきたい、おすすめの島です。

 

ちなみに、帰りの船も2等客室にしたけど、行きとは打って変わりガラガラだったものの、行きと同様全然寝れませんでした。今度はクーラーが寒過ぎる…

 

東京の南側の島は、まだ八丈島、青島、そして最果ての小笠原諸島といった魅力的な絶海の孤島がたくさんある。今後はこれらも訪れてみたい。

 

島旅おすすめ度

アクセス     ★★★☆☆

フェリーに関しては、東京から6時間以上かかるものの、都心から行けることもあり、距離の割には時間や手間がかかるといったことは感じない。

客室料金も比較的安価だし、また、大型客船ゆえか、そんなに突然の欠航も無さそう。

ただし、1日に1本しか無いため、旅程を組む際は制限が多そうだ。

 

島旅感      ★★☆☆☆

それなりに大きい島なだけあり、島特有のノスタルジー感は特段感じない。

ただ、景色が変化に富んでいるため、平地ではなかなか味わえない旅を感じる。

 

観光地      ★★★★☆

とにかく溶岩が冷えて固まった荒々しい黒い大地、雄大な火山、南国を感じさせる街の雰囲気といい、見るべきポイントは多くて何処に行くにしてもワクワクした。

特に新鼻新山は一見の価値がある。

 

島の活気     ★★☆☆☆

公道時間が早朝すぎたからか、あまり島の現地の方や、観光客とは合わなかった。

お店とかもさほど無かったようにも感じる。

 

自転車との相性  ★★★☆☆

火山島だからもっとアップダウンのある道かと思いきや、意外ときつい坂や危険な道は無く、1周した際の距離も30km〜40kmと観光を交えながら走る距離としては丁度よく、結構自転車との相性はいい気がした。

ただし、展望台に向かった際に通ったような、島の中央に向かう道路は相当な坂道になる。

 

旅の所要時間   12h〜24h

サクっと周るなら半日あれば十分だけど、食事とかも含め、しっかりと観て周るなら泊まってもいいかと思った。星もキレイそうだし。